ヒメシジミのいろいろ詩日記

詩人松尾真由美の詩作品のみのブログ。蝶のようにひらひらと詩のことばを綴っていきたい……

詩【艶やかな発色、その後】

艶やかな発色、その後

闇に浮かぶ
実と葉の赤とみどりの頂
ひとときの発色から求めていく
なめらかな交流の証しとしての光
こんなにも重なることがうるわしい贓物の
それぞれの言葉が艶めいてかがやくなら
試みはいつも試みることでまっとうする案内者
たとえば必死に手招いて
濃霧でも針でもいい
渡したものが
息づけば
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詩【ある果肉の泉として】

整うことの
波の落ち着き
いくつもの端正な言葉のつらなりから
憧れが引きだされるそんな夢のようなもの
読みこんでいけば感じられる
ながい時間の
積み重ね
果実と未生の実が寄りそい
尊い影の霧と霞
そこで憩って
襟を正して

詩【求心的に枯れる闇から】

水にうつって
膨張する
根のあたりの冷気のところ
振り返れば盗掘のしたたかな指があり
親しげに寄り添って
多大な依存は裏切りを象りつつ
切り取りの企図
そのような邪心がある
干からびた花はうるわしい脊髄の色だけを表して
もう骨格もくずれ
建て直すことのできない家
うすみどりで枯れていく少年の
彼岸の傍の声の衰退から
どこか無残なからまりの構図が透け
いくど信号を送っただろうか
種子さえできれば
それでいい
けれどいつも
崖は
すぐそこ
本能的な痕跡
原形となる

詩【小さな抗い、そのようなものとして】

幾枚もの枯れた葉の
かさなりが
疲弊して
ひろげればひろげるだけ
ひとつの名詞のあまりの波紋
後景のもくろみがなお大きく透けてくる
ひどく曖昧に延ばしている答えの底
茫洋としたものの
怖ろしさと賢しさとに
ここが地であることの不穏
どこまでも湧き立つのだ
端から端の
脈の動線
失言も認めなければ失言にならないから
そんな安易な筋から筋を
誤りと見定めれば
ただならぬ鋏のごとく
小さく
硬い
貝の采配

詩【交差の白の中点から】

しめやかな
声がとどまる
巣の痕跡
黒くしずかな波の上で
乾きすぎた蔓は羽根のように羽根と交わり
遠いところにある言葉たち
結びついて象る頸部の
白い骨は白いゆえ
体温が沈みこむ清廉な窓枠だから
細くもなく太くもなく
円環の方位として
俗世からなるべく離れていけること
望んでいる夜の雲
おだやかな交差にまかせ
涙にならない涙が硝子の光沢を発していて
炎に触れても火傷をしないよう
生疵をおおう包帯のよう
そのように思わせる漂泊に
接せられれば
孵化はすぐそこ
中空の
位置の喜悦へ

詩【したたかに変える景色を】

整然と
たたずんで
変わらない返答に
やわらかな布はいびつな石の硬さ
変態して多重化して息苦しく重苦しく
鏡に映る風景はひりひりと地の表面
慣れないままにかかえこむ
誤解などといえる誤謬がいつまでも蔓延するから
出口のみえない明日
このように
定着する

詩【薄まることの逍遙の】

かたくなな
殻であっても
薄まる影に覆われて
どこにいるのか分からない
そんな中空の透明な水のなか
泳いでいる浮かんでいる沈んでいる喘いでいる
消えることのできない個の息のさまよいに
かすかにきらめく葉の息吹
ふりかかって複層の襞
自ら象り入っていく
知らないうちに対に見られ
比較しようのないものの比較において
やわやわと消耗していくまがまがしい感触が
像の裏のまがまがしさに通じるとき
溝よりも穴のほう
落ちていることもある
不明な地理のこのあたり
言葉はどれだけ広がるだろうか
聞こえない音と
聞きたくない音との
狭間の
沈黙
さらなる失踪を
求めていて

詩【声の交わり、清廉な結び目として】

集まることで華やぐから
少しだけ暗闇を明るくする
花弁のやわらかな熱のかさなり
異種のささやきが混ざりあい
底の方で結びつき
気高く尊いものの声の
すがすがしい生長と伸長が空間を充たしていって
ひどく茫洋とした檻の圧
変わってしまえばいい
そんな希いの
祈りの色彩

詩【中空でのなごやかな交差】

無風なことの
心地良さ
かすかに寄りそうふたつの実と葉を
おだやかな場の白が守りつつ浮き上がり
どこかそのまま運ばれていく
そんな行き先に魅せられる
濃密ではない色の重ねに
ささやかな親近を感じていって
羽根がなくても羽根はあり
少しだけかしこまる交情から
泉の温もりをさぐり
こうして体温と体温の
さすらいの
丘にいる

詩【祈りのような光の斜線】

出入口も見えない
そんな閉塞のしどけない空間が広がって
予定調和の激しすぎる話術において
どこか砂漠の匂いと渇き
めぐるだけの遊具のごとく
形容がそらぞらしい
障害も感じなければ柱は揺るがず
たくましい織物の粗い目からこぼれていく光があり
光をもとめる窓があり
それぞれの立ち位置へと
この輝きはみずみずしい斜線を描き
直線的であることのうるわしさ
日差しの熱をまねいている
差しこむ希望は
爽やかな影を生み
そうして光と影
難破の手前で
並走する

詩【ゆがむ根と茎と図像と】

膨れあがる
不安な部位の
あの容量
おびただしくゆがむ根から
ほどよく養分は吸われていって
全面にあふれる何か混乱したもの
暴かれても暴かれなくても同じことになるのだから
嘴や脚のもつれ
枯れた葉と折れた茎
問題にはならない群れの
不調和の調和がいきいきと息づいて
こうした多層の部屋
彼岸にいれば
眺められる

詩【薄闇での危うい交わり】

夜が明けない
不安定な覆いのなか
異質なものが呼び合わさり
彫られたように浮き上がる脈の筋道
さらしてしまう穏当ではない連結だから
是も非もだれかの視界にまかせ
欄外の生理だけ取り残される
硬いものも柔らかいものも
ささやかな語意に重なり
置かれることで火花となって
貝と葉の質感
そのように
変容する

詩【あでやかな闇を聴くとき】

あわい夜
とてもかすかな
蠢きを感じていき
ゆるやかな黒の綾から茎や葉や蕾の楽曲
触れる聴覚が試されるそんなとき
聞きたいものしか聞いていない
不透明な耳への悔いに
つややかな遺留の譜
さぐっていくこともある
後景のその向こうに沈んでいる旋律の
望みと絶たれた望みと祈りと
おそらくは明記されない
それら乱調の沸点を
見過ごして
追想する
身勝手な指先の
応答されないことでふくらむ雑念の慌ただしさは
口を閉ざしたままうなだれる蕾の報復に対していて
一方的な介入は皮膚炎のかゆみ
それだけのしどけなさ
反復の音はずれ
堕落のごとく
さらにずれ
しなだれた緑の裏
葉脈だけが浮き上がる

詩【その夢の地】

屹立するきらめきの
たしかな重みが心地良く
壁にうつる白色の夢はとおく
襞のあでやかな光沢が同系色の脈絡を吸いこんで
夢の語りのそのまた夢のひたすらな異空間を夢として
ここは地上ではないという
猶予の歩道
誰もいないから
まぼろしのように
動線が
漂泊する

詩【たとえば貝の柔和なところ】

重なりあってしまっている
意味と意味
あるいは無意義
かたく柔らかい皮膜の
つらなりの言葉において
透きとおっている
透きとおっていない
このような見え方の移植されたくちびる
護られているような灰のさざ波があり
いやさざ波に揺らめくから
乾いたものがねじれていって
保護の覆いの異語のした
とても小さな原形
忘れていた湿度
ある寛容
そして
主語と述語が
接吻する

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