ヒメシジミのいろいろ詩日記

詩人松尾真由美の詩作品のみのブログ。蝶のようにひらひらと詩のことばを綴っていきたい……

詩【立つところと休むところの】

直線的なものの輝きがあったとして
角度のするどき朱の悲哀
先端の渇きが見える
ゆるゆると茎は巻かれ
あおい実の果てのところ
時間の経過のたしかさから
なごやかな
微笑の器
置かれることで
落ち着く
明日
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詩【渇いたものの集合点】

とおく
時間は経っていて
いくえもの渇きの表
破船の欠けらのこまやかな部位の冬から
なげく言葉も発せられずに
冷気もなく暖気もなく
ただ一粒の涙
中点で
かすかに
光る

詩【触感の白い多層を】

その
白い肌合いの
なめらかなところ
蘂よりも花弁の動きに惹かれていって
充たされないものを充たそうとする雪の影
いくえにも重なる記憶は淘汰されるから
ほらごらん
未知となって
華やいで

詩【きわやかに少しの毒】

どこかが
あつく
そして開く
鮮やかな武装のように
強調される葉の棘の本能的なよりどころ
聞きたくない見たくない感じたくない
中心の
尺度だけ
愛でることで
癒される

詩【曖昧さの行方のように】

だから
ぶれていくのだ
器があって蓋があって
納めるような丘のところで
落ちてしまえばいいのだけれど
うやむやに引き延ばす乾いた邪念に身を投じ
あからさまに杭の欠如をあじわって
ふたしかな毒の位置
鋭角的なものが
はみ出して
その生理
きっと裏では審判が終わらずに
低迷することで補うのだろう
外側のほう
もっとも明朗な
白さだけが
輝く

詩【風の囁き、陰鬱な地のように】

それは
変色した地
草むらの囁きから
風の音がどことなく聞こえてくる
不安な空が覆っていて
表明したいことと
奥にあるものの
奇妙なよじれ
なまなましい陽の欠けの
解消できない病がひろがり
このように相反する陰影から
織りあげられた布の亀裂
ここから裂いてしまえれば
すこやかな景色となり
みどりも茶も
内臓の色
風下で
揺らいでいる

詩【闇のところの赤と白】

孕まれている
不安定な内実の
まるく柔らかいところに
隙間の多い
柵が覆い
愚かしくも侵犯される
粗雑な脈絡のそらぞらしい繰り言を
拡張された損ないの欺き方を
句読点のあやまりを
排していっても
血はながれ
闇の中で赤くひかる
開くことは閉じること
そのような息吹をたずさえ
どこかにある白い器の
おだやかな体温
透けた手で
なぞってみたくて

詩【屹立への憧憬から】

このようにぶれている
反映の亀裂において
ひかりも影も
向かい合わない
齟齬の列と
文字の間違い
聴覚だけが切りたって
およそ物質であることで癒されることもある
そうぞうしい声もなくそらぞらしい返答もなく
ひとつひとつの密室がすがすがしく
ありありとした他者の姿に
ひととき安らぐ
夜がある

詩【絡まることとすさむこと】

浮遊する
言葉のあたり
整理のつかない息にまみれ
からまる枝は弱々しく
けれど執拗に追ってきて
寒さのなかで屹立するもの
赤く喘いで
実を吐きだす
いつまでも未熟な骨の
あきれるほどの愚行の谷
ゆっくりと堕ちるよう
闇が闇でなくなって
ほら後ろのほう
苦笑いの
横顔があり
縮こまった
尾をからめる

詩【行き交うことの無残な形】

なぜか
越境している
その陥没の暗さにおいて
足をすくわれ手がからまり
しどけなく渇いた崖を腫瘍のように見定める
あれは朽ちた茎と葉が生き延びるための偽りの構図
練りかためた幾多の季節が飛躍して灰の色へと
身動きがとれないほど凡庸に没していて
はなはだしい生命力が
追記となって立ちのぼる
内耳から内耳への
通行の不可能性は患いの庭
気づかないことの塵の紋様は
吹き飛びもせず吹き流されもせず
一定の円環をぐるぐるとめぐっていて
怯えているのはどちらのほう?
剥落する日なたの蘂から
出立する鳥
一枚の
羽を残す

詩【融合があったとして】

ひとりでは
ないのかもしれない
触れゆくもののやわらかな弾力を
葉脈の証しとしていくつにも分岐する
夜のかたい熱
なぜかしら
動詞も
形容詞も
はらはらと剝がれていって
そのように縮こまる核のあたり
かすかな光は介入された火傷のあと
穏やかにはならないで
透けてくる
危機をはかる
内側も外側もすでに
見据えられた川のよう
狂言のよう
堕ちるところまで
ながれる

詩【夜の殻の過敏なところ】

近くて
遠い
あかい火を
抱えこんで透けていって
たしかにおだやかな海の内部
難破のように
感じていく
静かにかたい楕円の熱の
そのゆるやかな磁場はきっと
保守の薄暗い水分に充ちていて
沈んでいるのか
溺れているのか
不分明な安寧から
逆らう茎の棘はふとく
曲がりながら伸びていく
はみ出すことで他愛ない息をして
少しだけの自由
堪能する夜である

詩【たとえば融和と対立の】

異なる
種の息の
かさなりの
その縦の線の
鮮やかな硬度と軟度の
脈絡を剝がし引き寄せる時空の
緊迫とうるおいが交差する苦しさの
閉ざしてもいない通路のゆるさの
ひとときの水のたまりの透明の
激しい快楽にまかせる身体の
為し得るものはないことの
有機的な虚しさの
枯れる花の
渇きが
棘になる

詩【かたまることの危うさを】

置かれている
ひと塊の
言葉のほつれが
身近なようで距離がある
素肌の色と喉の渇き
ひとすじの影を追って
貝柱をえぐるなまなましさを
すぐに忘れて
笑っている
骨のない
揺らめきだから
己でかたまる
追記となる

詩【あざやかに儚いものを】

離れている
ふたつの物事
どうにかつなげる寒空の
そのいびつが急所となって
盲目の明日の仕草を小さな花が祝っている
影のごまかし
声の機微の
白は白を失いつつ
鉱石のように
かたまって
漂って
茎だけが鮮明になったとして
救いはないかもしれない
種子の叫びが
あまりに

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