ヒメシジミのいろいろ詩日記

詩人松尾真由美の詩作品のみのブログ。蝶のようにひらひらと詩のことばを綴っていきたい……

詩【たとえば神聖な差異として】

対比される
色であっても
それぞれの質感が
生きる証しとなっている
重ねてみる個と個の差異を
遊べればいいのだろうが
単独な血であることの哀しさ
あるいは身動きできない巣の底の
解決しない問いだから
浮き上がって
直線の

行き先を
暗示している
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詩【とても白い脈動から】

こんなにも
柔らかい
純白の寝台で
主旋律が流れていけば
疑惑や
嫌悪
消えゆくだろう
湛えられたものの無言と無化に
横たわって
手足を伸ばし
晴れやかでありたい蕾
地は見なくてすむのだから
夢は夢
保存され
内から外へと
花開く

詩【消息あるいは夜のさやめき】

さやさやさやと
浮かび上がる
あらたな季節の脈動に
培ってきたものがほんの少しほころびて
そうした予感の夜のなかを
熱くつめたい風が横切り
推移と迂回
混濁する
かつてあったものとこれからくるもの
しめやかな変転をのぞんでも
幹や茎から血がながれ
芽が絡まる
壁はくずれる
さやさやさやと
浮かび上がる
未知の構図は
たぶん
投影
追いかけるだけ
想うだけの

詩【残骸あるいは】

ときがたてば曝される
かたくなな素地のような
けれど不具合な蘂のきしみ
飛び立つことのできない
根が底にあったとして
時効にはならない
白はただの合図
純粋ではなく
そのまま
枯れていく
密やかな
火柱である

詩【視点は青く受諾している】

ひびきを聞けば亀裂がはしる
その頑なでもろい胸壁の
たどたどしい域の中点
青くうすく青くこく
眼差しのように
見据える
束ねられたものの翻意
しかしながら停留するのだ
亀裂の透き間は妙にやさしく
さざめきはゆるやかにやってきて
やけに体温を感じさせる
水のない渇いた地で
襞と襞
違和と差異
あるいは陥没
巣の腐乱を曝していて

詩【影のなかで整う花を】

静かに
かたまる
花頸の息と息
かすかな差異の
隣接と
集合
安らぎがあったとしても
少しだけ外れしまう茎の脚よ
支柱さえ強ければ構造は崩れない
そのような夢をみて
ふらふらとなお
曇る朝を
迎えていく

詩【近くて遠い影と影】

上から見れば
距離がある
近くて遠いその機微に
影が覆ってふりまわされ
あかく濃く
風はながれて
これもまた凝血し
ふたしかな位置をゆらゆらと眺めている
定められたものなのだろうか
向こうに空があったとして
内側の硬質
目と耳と足許と
修復できない
脈の
うごめき

詩【朦朧となだれゆくもの】

とどかぬ日々
流れていく
黒と白
決して明らかにはならない
そのような堆積から
患部と恥部が
あふれだし
見せないようにしていても見えてしまうことを
黙っていても分かられてしまうことを
知らないことすら
知られてしまうことを
そして氷は溶けることを
曖昧にして
見取図は
崩れていき
やわやわと計画は
かならず無効に
なればいい

詩【花頸の白い角度】

四方を見渡す
眼差しの
確たる生地がうらやましい
客観と客観とをおそらくは練りあわせ
端正な文脈
装いから
きらめいて
方角の問題だろう
位置の悲惨を
覆っている

詩【囲まれることの夏の氷点】

森の熱が
発せられて
みどりがよほど深くなる
あつくるしい呼気の包摂の
逆行する影のひび割れの
葉脈の悲哀のところ
こうして中点は浮き上がり
さまざまな襞と襞とが重なりあい
ふたたび重なり暗くなって留まるよう
萎縮のごとくにやわらかな孤独を固めることもある
胸底の養分を残すための秘儀として
夏の喜劇と笑いとばす
主題のない
葬送の
かすかな響き
嘆きはなく
ただめぐって
蓋をされ

詩【どこかしら不穏な行為の】

無言でいることの優位があって
かたい甲羅が招いてくる
やけに脆弱な内臓の
旋律のからまり
潮がひいて
反映の灰の色で
依存のような空のくもりを
はらうことはできなくて
茎のない花のつたなさ
回想すれば
尾が笑う
読みちがいのかずかずの過ちを
ほほえましい転落と呼びなおせば
後景の陳列品がきらめくこともあるのだろう
壁から落ちた肖像と
罅の入った壁の軋みと
ふぞろいな歳月と
取り返しのつかない
暗闇にいること
谷間に縋りつづけていて
徐々に徐々に侵食する
こうした退行または前進
寄りかかられて重たくなって
花はしだいに餌食となって
ふさわしい図式のごとく
疑わしいままに親密な
孤児と孤児の
強い網の目
ほら
稜線が
崩れゆく

詩【声のない聖域あたり】

ほぼ完結しているもの
蕾であって
その姿勢
あざやかな闇の中で
さわがしい包摂を排しながら
どこか緻密に
語を選び
しろい出会いを待っている
すこしだけ開いている
十全なくちびるから
清澄な呼気が蒔かれて
舳先が迎える
直角の
明日

詩【きららかな陽の葉の方途】

だから
光があたる
水面のさざめき
耳を澄ませば滑らかな声の抑揚の
その領野はひろびろと儚くて
疑わしいもの
あざといもの
突き放して
包摂する
希望的な観測の
その微かな強度によって
境界は消えていき
枠のない枠
大量の葉の呼気から
なにか偉大な
影の浸透

詩【養分と膨らみと】

透明な水があって
言葉は通じず
血が流れる
深い紅のその晶度
たたまれていたものが花開いたとき
違和の相貌に驚くのだろう
しだいに入口から外れる
反応のずれ
膨らんでいく
すみずみまで
不均衡は抹消され
どことなく寒く
平板である

詩【執着の図式として】

たとえば
剝がれないことの
逸脱があったとして
渇きは渇きのまま
多量の声を養っていく
騒々しい言説の意図の貧しさ
そうしたものが青草のもと
吸収され
溶けだして
華々しい火柱を上げていく明日があり
毛細血管の働きの
目に
見える
予想の
壊滅
さびしい色をしているだろう
固定された位置に執して

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