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松尾真由美 詩のことばと言(コト)の葉と Ⅲ

旧 ヒメシジミのいろいろ詩日記

詩と写真【昇華の手前のうごめきの】

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受けとめても
受けとめなくても
変色していく草花の先端
硬かったり柔らかかったりもしくは触れえず
ひとつの語をも擦り抜ける風となって
小さな窓がかしましい
本当のところを創りだす
その不器用で正統な蒼の色味に酔いしれるほど
さらに沈んでいく生温かい腐葉土の機微
ゆるゆると栄養を口に運び
不安と解釈
任される


写真 森美千代 詩 松尾真由美

及川恒平・太田惠資 コラボレーションライブ【終章Ⅲ】 

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「終章Ⅲ・秋編コンサート/華沙里にて」を聴く。
出演 及川恒平 Vo.&Gt.  太田惠資 Vrn.&Vo.

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プロの二人の自在なコラボレーション。
贅沢なひとときを楽しみました。
フライヤーにある「終章Ⅲに向けて」での
及川恒平氏の最後の言葉、「つまらない後悔だけはしたくない」。
そうなると大変なんだけれども、音楽に向かう姿勢が潔く貫かれている。
この感覚は及川さんと接しているとどことなく漂ってくるものでもある。


11月3日、その及川恒平氏とコラボレーションライブをします。
会場は大泉学園の「inF」。私、今回はピアノも弾きます。
詳細は後ほど。

「小劇場01号(創刊号)特集・一冊まるごと ぷろじぇくと☆ぷらねっと」制作・発行清原修志

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清原修志氏制作・発行の演劇誌「小劇場01号 特集・一冊まるごと ぷろじぇくと☆ぷらねっと」
オールカラーできれいな演劇誌です。

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ぷろぷら最新作「プロミスト・ランド」を詳細に紹介し、
作・演出の日疋士郎のインタビューやキャスト・スタッフコメントあり。


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旗揚げ公演からの全11演目を網羅。


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ぷろぷらの魅力を探る書き下ろし集には、
私も「日疋舞台作品と詩」というタイトルで書かせていただいております。
文中、詩作品「花」と「遺書」の部分引用がありますが、
本誌には、その詩作品「遺書」が劇中詩として掲載されております。


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清原修志氏の「編集後記」から
今回、私が2006年から公演を観続けているぷろじぇくと☆ぷらねっとを、本誌創刊号のテーマとしてとり上げました。52ページを使って紹介すれば、その魅力をある程度お伝えできると思っていました。しかし、彼らの稽古場を取材するたびに、役者の皆さんは輝きを増し、演出家・日疋さんとの対話を通して役やシーンに対する解釈を自ら深めていきます。まさに芝居は生き物です。芝居、ここが始まりであり、希望である、そんな思いにさせてくれるのです。この感動は、まだまだ本誌では伝えきれていません。「プロミスト・ランド」は「理解」するでだけでは終わらない魅力が詰まっているのです。(後略)


今日5時から最終公演。
公演後のアフタートークに小説家の都築隆広氏が登壇いたします。

ぷろじぇくと☆ぷらねっと第11回公演【プロミスト・ランド】アフタートーク出演

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詩人でもある日疋士郎氏が率いるぷろじぇくと☆ぷらねっと。
第11回公演「プロミスト・ランド」が今日から始まっています。


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明日14日(金)は公演のあと、
アフタートークで、
日疋さんと詩とお芝居のお話をします。

詳細はこちら↓

http://propla.p1.bindsite.jp/next_stage/next_stage.html

詩と写真【出立の小舟の危惧】

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わからない
行方の 
小舟
いつも望んで出立する
その葉の襞のさまざまな揺れのあたりで
みずみずしさとまがまがしさと危うさの総重量
形を変えても変わらずに意外に重たくのしかかる
剝がれた異語の擬態で応じて
荷をほどこうと
藻搔くほど
疑いは晴れなくて
霧の夜は茫洋と   
未知なるものの夢
それだけに
縋っている


『デュラスのいた風景 笠井美希遺稿集・デュラス論その他1996~2005』(七月堂)

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『デュラスのいた風景 笠井美希遺稿集・デュラス論その他1996~2005』(七月堂)。
28歳で亡くなられた笠井美希(札幌の詩人・笠井嗣夫氏のご息女)の著書はタイトル通り、デュラス論を軸に文学、写真、映画などについて書かれたものがまとめられている。デュラス論では女性の商品化という視点からフェミニズムまで射程を広げ、ダッハウ収容所の写真では空白部分に死者の痕跡を認める。札幌の雪の白など彼女にとってのキーワードは白さにあるように思われるが、オクタビオ・パス、クァジーモド、安西冬衛など詩人にも言及があり、視野の多方向性と良い意味での熱度ある文章は好感が持てる。将来性を鑑みるに彼女の早逝は北海道の論壇(この呼び名は正しくないかも知れない)にとって大きな損失だったと思われます。

詩【きららかな陽の葉の方途】

だから
光があたる
水面のさざめき
耳を澄ませば滑らかな声の抑揚の
その領野はひろびろと儚くて
疑わしいもの
あざといもの
突き放して
包摂する
希望的な観測の
その微かな強度によって
境界は消えていき
枠のない枠
大量の葉の呼気から
なにか偉大な
影の浸透

などの
夢をみる

読売日本交響楽団演奏会・工藤冬里ピアノリサイタル

昨日は午後と夜に生演奏を楽しみました。
午後は読売日本交響楽団の演奏会へ。
指揮/ヨーン・ストルゴーズ ピアノ/小山実稚恵
プログラムは、
アレッサンドレスク「秋の黄昏時」
ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11」
シベリウス「交響曲第2番ニ長調作品43」
今回はピアニストの顔がよく見える席でした。
曲想が変わると小山実稚恵さんの表情も変わる。それだけ曲に入りこんでいるのが見えたのに驚く。演奏も良かった。
シベリウスは演奏者全員が体力を使い切っただろうと思わせるような力強さが印象に残りました。
夜は新宿文化センターへ。
写真は文化センターに向かうゴールデン街の横の小道です。


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新宿裏窓15周年記念工藤冬里ピアノリサイタル。
陶芸家でもある工藤冬里氏の自在性はメリハリもあって面白い。
こんなふうに鍵盤と向き合えたらいいなと思わせる演奏で、
全体の雰囲気もどことなく魅力的。
そんな感想を持ちました。

詩と写真【たとえば境界のない圏域として】

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横たわって
寄り添いあって
そのような読解を求めている
お互いの秘めやかな意識のところ
濡れたあとの乾いた躰をさらしていく
そのときどきのみずみずしい触感を
幻想と名づけてしまえば
あまりにもふがいなく
好ましい影か霞か
情感に入りこみ
微かに軸となるもの
通じ合うことを希いつつ
内臓の雲がこぼれ
そうして新たな
陽がのぼる
儚い文字がかさなって
重たい書物ができあがり
前方も後方もまばゆい無効
咲いた花は誰のもの?
すこしだけ幸せの予感がする
出会ってなくて
出会っていて



写真 森美千代 詩 松尾真由美

詩【執着の図式として】

たとえば
剝がれないことの
逸脱があったとして
渇きは渇きのまま
多量の声を養っていく
騒々しさや姦しさや
そうしたものが青草のもと
吸収され
溶けだして
華々しい火柱を上げていく明日があり
毛細血管の働きの
目に
見える
予想の
壊滅
さびしい色をしているだろう
固定された位置に執して
その椅子
崩れている

詩【多層性の日の次元】

見えるものも
見えないものも
触れえないものも
触れえるものも
風化も硬化も
まぼろしの産物の
さくらの花は咲いていて
多重の慌ただしい帰路のごとく
迷うだけの夢にさまよい
涙のない
材木の叫び
老いさえも背負えない
落着があるとして
瞬間を混濁させる
症例のひとつ
どこまでも
探っていけば
あることもないことも
いることもいないことも
死も生も失態も
街の隅にて
めぐっている

詩【紅とみどりの反射鏡】

あちら側の
血の滲み
少しだけ距離をおき
未熟な葉がゆれている
垂直に流れない空域をかたどりつつ
漂いの夜をひたすら堪能し
けれど不快な目覚め
小さな実に
凝集する
弾けることもなく通り過ぎる芥のほそい釘
後方で折り重なり
目の充血
さらに赤く
染まっていく

総合詩誌「PO」170号(竹林館)



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総合詩誌「PO」2018秋・170号(竹林館)の特集「花へのオマージュ」に、
森美千代さんの写真(花)と拙詩とのコラボレーション作品3篇と、
コラボレーションを通しての花のエッセイを書かせていただいております。
タイトルは「詩と花とが共に在ること」。

各書店・竹林館にご注文いただけます。

詩【日差しに向かう花】

少しだけ
上を向けば
こごまりの寒気が去って
ひらきかける南側の窓のほうへ顔を向けるべきだろう
近づけば近づくほど屹立する熱のうごめき
映ずることで愛おしい脈となり
雨も雪も快晴に飲まれるから
疑わしいものは滅し
なお擬装のような
くちづけの
形となる

詩【そして斜面の陰影から】

乾いた土
くぐり抜ければ
向こう側は陽のあたる場所となり
ほどよい体温が待っている
共鳴も共振も
踏み固めて
雪は溶け
試みられた逃亡のあと
磁場はぐるりと回転して
生きて死ぬみどり
死んで生まれるみどり
くりかえす
落胆と
清々しい開口部
許されないだろう
間違いばかりが
空中に
点在して
点滅する明日

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